
こんにちは。埼玉県ふじみ野市で活動している、こどもえいごクラブJacarandaです。
感染症の拡大で学校が休校になるという初めての事態。不安や戸惑いもあると思います。一人ひとりが気をつけながら、協力してこの危機を乗り越えたいですね。
今回は、もしかしたら子どもたちが持て余しているかも知れない「暇」についてのお話です。
臨時休校で突然「暇」に…?

冬休みが明けてほどなく、ニュースは新型ウイルスの話題で持ちきりとなりました。まだまだインフルエンザも流行しているし、花粉も飛び始めるタイミングだと言うのに、マスクや消毒液が売り切れ、ティッシュやトイレットペーパーまで買い占め騒動が勃発。
そして、ついに全国の小中学校・高校に休校要請が出されました。
不要不急の外出を避けるように言われた子どもたちは、基本は家で多くの時間を過ごすことになりました。
「学校の時間割の通り、算数の時間には算数のドリルをやっているよ。」「調理実習として、料理のお手伝いをしています!」など、皆さん工夫をしながら過ごしている話を耳にします。中には、普段あまりできない英語にチャレンジしている、という子も!いいね!
とはいえ、時間の管理って難しいですよね。毎日引きこもってばかりだと、さすがに「暇」になってしまいます。暇を持て余している子どもたちも多いのではないかと思います。
学校とは「暇」する場所?

勉強に運動、おまけに当番の仕事。帰ってきてからも宿題。明日の時間割の準備。あぁ、学校って本当に忙しい。学校が無くなると、こんなに暇だ。そう思いませんか。
でも、ちょっと待って。本当は逆。学校が暇な場所なんですよ。
え?どういうこと?と思うかも知れませんね。「学校」は英語で “School”ですが、この言葉の本当の意味を知れば、きっとわかりますよ。
はじめて学校という場所ができたのは、古代のギリシアと言われています。
当時の哲学者たちが、より高い知恵を求めて集まり、あぁでもないこうでもないと様々な議論を交わしていました。
古代のギリシアは厳しい階級社会で、奴隷たちは毎日せっせと働いています。議論など交わしている暇はありません。
学校なる場所に集まることができるのは、働かなくても良い上流階級の暇な人たちばかり。知的活動は、時間的な余裕がある人にのみ許された、崇高なものだったのです。
ところで、この「時間的な余裕、暇」のことを、古典ギリシア語でスコレー(σχολή scholē)と言います。これが学校、Schoolの語源です。
スコレーな時間に行われるスコレーな活動。そしてスコレーな活動が行われるスコレーな場所。それがスクール、つまり学校というわけなのです。
「学校」が「暇」っていう意味だったなんて。何だかアベコベでおかしい感じがしますね。
暇な時こそ「とことん学」を!

ところで、その暇な(…と言ったら失礼かしら、時間に余裕のある高貴な?)古代ギリシア人たちは、どんな知恵を求めて、何を議論していたのでしょうか。
それは、こんなテーマでした。たとえば「アルケー」について。アルケー(αρχη arkhē)とは古典ギリシア語で「はじめ」という意味。
英語でも “arch” が付くと「はじめ」や「一番」という意味になることが多いです。たとえば、“archaic” は「はじめっぽい」つまり「原始的」「古典的」という意味です。“archenemy” は、arch(一番の)+ enemy(敵)=大敵 という意味です。
つまり、万物のはじまりは何か、宇宙の原理は何なのか。どうやら、そんなことをみんなで考えていたみたいです。
…う〜ん。そう言われても、壮大すぎて何のことやら。
皆さんは「宇宙ってどこまで続いているのかなぁ…。」なんて考えて眠れなくなったことはありませんか。もしかしたら、そんな問いに少し似ているかも知れません。
そんなことをみんなで集まって1日中考えていたなんて。なんて暇な人たちなの!
他にも「一番美しいものって何かな。」とか「正しい生き方って何だろう。」とか。
なかなか答えが決まらなそうなテーマを、じっくり考えとことん話し合っていたようです。
皆さんには、宿題や習い事、テスト勉強、家のお手伝い、友だちとの約束…、目の前にたくさんやることがあって、とても忙しいですよね。
でも、もし今、いつもより少し時間がある(スコレーな気分!)なら、普段考えないような疑問や謎を、古代ギリシアの哲学者になってとことん考えてみるのも良いかも知れませんよ。
たとえば、自分の好きな教科のもっと知りたい部分をとことん追究してみるのも良いし、「大人になるってどういうことかな。」「友だちって何だろう。」そんな素朴な疑問にじっくり向き合って自分なりの答えを見つけに行くのも良い。たぶんテストには出ないけど、そんな「とことん学」も、時には必要なことだと思います。
一生懸命考えて、何かを感じたり、気づいたりしたら、それがきっと自分の「価値観」になるからです。自分の気持ちや考え、アイデアをしっかり持っていること、それが「自分らしさ」に繋がっていくのではないでしょうか。
そして、そうやって見つけた「自分らしい自分」は、コミュニケーションにおいて、とても重要。もし、相手が異文化で暮らす人ならもっと重要です。ひとつ学年が上がって、活動の幅も広がっていく新学期に、自分の気持ちや考えを持って、自分らしく活躍できたら素敵ですね。ぜひ、皆さんのスコレーを大切に使ってください!
暇に関する英語表現

それでは最後に「暇」に関する英語表現についてお話します。
暇でボーッと、bored.
「暇だな。」と言いたい時、一番最初に思いつくのは、Boreという単語。退屈でつまらない、マイナスの意味で使われます。
暇になっている人が主語なら “I am bored.” のように過去分詞形(-ed)、授業とか映画とか、暇に思わせるものが主語なら “It is boring.” のように現在分詞形(-ing)になります。
日本人も、暇な時って “ボーッと” するじゃないですか(笑)。Bored で ボーッと。音のイメージが似ていて面白いですよね。
暇だからOK!空いているよ!
暇でつまらないのではなく、予定がないから遊べる、手伝える、というようにプラスの意味を伝えるときの表現は free や available がぴったりです。
学期末の試験が終わって明日から夏休み。イエーイ、自由だ!“I am free!”という感じ。
availableは、“Are you available now?”「今、お時間ありますか(お話しても良いですか?)」のようにビジネスシーンで頻繁に使われます。
商品やサービスにも使うavailableという単語、その場合は「手に入る」という意味で「発売中」「空席あり」「利用可能」という訳になりますが、このイメージに引っ張られると「あなたを利用できますか?」と言われているみたいで、何だか失礼な気がしますね。
でも、それは勘違い。失礼ということは全くありません。フォーマルな場面で使える丁寧な表現なんですよ。日本語と英語の感覚の違いが現れる単語ですよね。
kill? death…殺人事件か?!
何もすることがない時には、本を読んだりテレビを観たりして時間を潰しますね。これを英語で kill time と表現できます。…おぉ、なんだか急に物騒…。
“I am just killing time. ”「時間を殺しているのよ。」と直訳すると恐怖ですが、実際は「ただ時間を潰しているだけよ。」という意味です。
また、暇で暇で仕方がない時、こんな風に言うことがあります。“I am board to death.” 暇で死に向かってる…。ひぃぃぃ!恐ろしい!
実際のニュアンスとしては「死ぬほど暇だよ!」という感じですね。殺人事件のような表現が、イライラする感じを伝えていますよね。

子どもたちが何も心配することなく集まって遊べる日が、1日でも早く戻ることを願っています。その日のために、子どもえいごクラブJacarandaも準備しています。活動が再開したら、ぜひ遊びに来てくださいね!
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