
こんにちは。埼玉県ふじみ野市で活動している、こどもえいごクラブJacarandaです。
今回は、非英語圏で生まれ育った日本人が、ノンネイティブでも自信を持って世界に翔けるよう「英語」という言葉の特性をお話ししたいと思います。
「ネイティブ」とは…?

英語を勉強する時、「ネイティブのようにペラペラに話したいな。」とか「ネイティブの先生に英語を教わりたい。」とか思うことがあるかも知れませんね。
まず、考えてほしいのは、そもそも「ネイティブ」とは…?
英語を母国語とすること、つまり生まれた時から英語を使って育ち、生活していることをネイティブと言います。
たとえば、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで生まれ育った人がネイティブ・スピーカーと言えます。
では、ネイティブの人は皆、同じように英語を話すのかと言えば、もちろん「NO!」ですよね。
よく言われる通り、イギリス英語とアメリカ英語とではかなり違います。発音も、アクセントも、綴りも、使う単語でさえも。
イギリスの影響を受けているオーストラリアでも、イギリス英語とは違う発音をします。それぞれの国で、独自の表現があるのです。
つまり、ネイティブと言っても色々あるわけで、「これがネイティブの英語!」と、ひとつに決められるものではないのです。
英語にも方言。スタンダードな英語とは?

さらに言えば、国内にも多種の方言があります。
日本語にも、東北弁、関西弁、九州弁…と色々あって、しかも結構違いますよね。コテコテの方言で話されると、同じ日本人でも何を言っているのかさっぱりわからない…なんて経験はありませんか(鹿児島の温泉で地元の方に話しかけられた時は海外旅行だったかと思いました)。海外でも同じです。
たとえば、イギリスの中では、ビートルズの出身地で有名なリバプール周辺は強い訛りがあると言われているし、ロンドン出身者が話す “Londonese” は都会っぽくて垢抜けているとか、都会気取りしていて生意気だとか、良い意味でも悪い意味でも言われています。
いわゆる「RP」と呼ばれる発音は上流階級、中でも「クイーンズ・イングリッシュ」は最上級で、これぞ “本物の英語”と言う人もいます。もちろん、言葉は上品な方が良いのですが、これらの上流アクセントを使う人はほんの一握りで、一般的な英語とは言い難いものです。現地の英語講師の話では「イギリス国営放送BBCではPRが使われている」というのも過去のことで、今ではそうでもないキャスターも多いのだそうです。
同じように、アメリカにも、オーストラリアにも当然、多かれ少なかれ、方言による発音やアクセントの違いは存在します。
極論を言えば、スタンダードな英語などないということです。
世界共通語としての英語

英語は、リンガ・フランカ(Lingua Franca)と言って、学問、芸術、スポーツなど、様々な分野で、共通語として使われている言語です(…音楽や医療用語はドイツ語なのかしら?)。
世界中のあらゆる地域で、色々な立場の人々が、様々な目的で、ネイティブ・ノンネイティブを問わず使っています。
英語を使う場面は、相手がネイティブスピーカーでないことも想定するべきです。時にはノンネイティブ同士のコミュニケーションツールでもあります。
世界には「第二言語」として英語を使う人々がいます。母語でなくても、地域の公用語であれば、場面に応じて、日常的に英語を使っています。
また、日本人は特に、ビジネスや観光など様々なシーンで、アジアの人々との関わりが多くあり、その際にも英語は頻繁に使われています。互いに「外国語」である英語を使って会話をするのです。
「英語」という言語のスタイルは、実に様々であることを理解しておく必要があると思います。
イギリス英語とアメリカ英語、日本の子どもが学ぶべきは?

では、これから英語の勉強を始める人、特に日本の子どもたちは、どんな英語を学ぶのが良いでしょうか。
日本の子どもたちは、ほぼ日本語のみの生活の中で過ごしています。先に書いたとおり「外国語」として英語を学ぶ立場です。身近にない言葉を、海外から取り入れて学ぶわけです。さて、どこから取り入れましょうか?
よく「アメリカ英語とイギリス英語、どちらを学ぶのが良いの?」と質問されます。
結論から言うと「どちらも良い」というのがJacarandaのこたえです。これは決して「何でも良い」ということではなく、先にも述べたように、英語という言語の多様性を知るということが、真の国際人になる道だという考えです。
私たちはいつだって日本人です。英語を学ぶということは、イギリス風になることでも、アメリカ風になることでもなく、世界を理解する日本人になるということ。英語という言葉の様々なスタイルを客観的に見渡せるのは、英語圏にいない、ノンネイティブな日本人だからこそ容易にできることかも知れませんね。
「アメリカ英語を学んだから、イギリス人の言っていることは聞き取れない。」となってしまうのは残念です。英語が世界のリンガ・フランカなのならば、発音やアクセントの違いはさほど問題ではなくなるのです。
日本の子どもたちは、幼少期には、地域差はあまり意識せずに「日本語とは異なる言語」の存在を知ること、それに興味を持って楽しむことが大切だと思います。
そして、ある程度の年齢に達したら、
地域による表現の違いを楽しむのも、英語学習の醍醐味!
ではないでしょうか。その上で、イギリス英語かアメリカ英語かも含め、自分の目的や好みに合った先生や教材、学習法を選べると良いですよね。
目的に合った教材とは…?

教材を選ぶ手がかりのひとつは、日本の学校で教わる英語は、アメリカ英語が中心ということです。自ずと入学試験をはじめ、国内で行われるテストの多くをアメリカ英語で受けることになります。アメリカ英語の単語に親しんでいたり、発音に慣れていた方が有利かも知れません。進学を念頭において、アメリカ英語のテキストやリスニング教材を選ぶのも良いでしょう。
一方、世界で見ると、イギリス英語、またはイギリス英語寄りの英語を使っている(または学校で教えている)国の方が多いそうです。将来、留学や海外での就職を考えているならば、その内容によってはイギリス英語に特化した教材を選ぶ方が良いかも知れませんね。
ぜひ掘り下げて考えてみてください。自分がなぜ英語を学びたいのか。英語を使って何がしたいのか。
「ハリウッドスターになりたい」ならアメリカ英語を学ぶべきでしょうし、「ハリーポッター映画を字幕も吹き替えもなしで観られるようになりたい」ならイギリス英語を学ぶのが良いですよね。余談ですが、ハリーポッター映画では、原作者のJ.K.ローリングの要望で、俳優は全員イギリス英語を話すことが条件付けられていたそうですよ。
また、海外の友だちを作りたいなら海外ドラマやバラエティー番組もひとつの良い教材になりますが、ビジネスをするならニュース番組(CNNやBBC)の方が役に立つかも。
こんな具合に、目標・目的がはっきりすれば、ただ「英語を学びたい」という漠然とした想いだけでなく「こんな英語を学びたい、話せるようになりたい」と、より具体的になると思います。そうすれば教材もある程度絞られてきます。
ノンネイティブでも堂々と話そう!

最後に、このブログで一番お伝えしたいこと。
日本人にとって、ネイティブレベルの英語、特に発音を習得することは、正直、容易ではありません。なかなか高いハードルです。でも、
自分の英語がネイティブでないことにガッカリしないで!
ネイティブでないことを理由に英語での発話を躊躇うなら、それは本当にもったいないこと!
外国人留学生や観光客が日本語を話すのを聞いたことがありますか。彼らにとって日本語は当然、外国語ですね。発音やアクセントが違うこともあるでしょう。でも、意思疎通ができれば、日本人である私たちの側が、一々そんなことを気にしたり、指摘したりはしないですよね。
英語であれば、なおさらですよ。
ネイティブでないことを問題にされることは、ほとんどありません。
なぜなら、散々書いてきたとおり、英語は世界中で幅広く使われている多様な言語だからです。あなたの英語は、世界中で話されている英語の、様々なタイプのうちのひとつに過ぎません。
英語ユーザーの間では、相手の発音やアクセントが違ったり、ネイティブでなかったりすることは日常茶飯事。珍しいことではないのです。
英語は、世界で一番、ノンネイティブを受け入れている言語でもあります。
もちろん、伝わらなければ意味がないし、きれいな英語を話せる方が良いのは間違いないので、努力は続けなければいけません。でも、ネイティブでないことに引け目を感じる必要もありません。堂々と話せば良いのですよ!
おまけ 〜ネイティブでも混乱する英単語〜

さて、一番言いたいことが言えたので、ここからはクールダウンして、おまけのお話。
たとえば「サッカー」のように、イギリスでは “football”、アメリカでは “soccer” と、異なる呼び方をされるものがあります。
ここで厄介なのは、アメリカ人にとっての “football” は「アメリカンフットボール」だということ。同じ単語なのに別のスポーツを思い浮かべてしまうのです。
このように、国によって違う意味で使われている単語はいくつもあります。これにはネイティブでも混乱します。ここでは、知っていると便利なものをいくつか紹介します!
biscuit
(英)クッキー、ビスケット (米)スコーン、サクサクのパン
→あの有名なフライドチキンのお店に売っているビスケット、あれがアメリカのビスケットです。イギリスのビスケットはいわゆるクッキーのこと。食べ物で「思っていたのと違う…。」となるのは悲しいですよね。
chips
(英)フライドポテト (米)ポテトチップス
→ビスケットより混乱するのがチップス。ファーストフード店のポテトが食べたいなら、イギリスでは「チップス」とオーダーするのが正解。ポテトチップスは “crisps” です。
drug store
(英)??? (米)ドラッグストア、薬局
→日本にあるドラッグストア(市販の薬や日用品、化粧品などが買えるお店)は、アメリカでも “drug store” と呼びます。でもイギリスでは “drug” と言えば「麻薬」の意味で、とても物騒ですよ。イギリスでは “Chemist” と言います。
first floor
(英)2階 (米)1階
→え?どっち?!階が違えば大違い。なかなか目的の部屋にたどり着けません!イギリスでは1階は “ground floor”です。
homely
(英)家庭的、あたたかみのある (米)ブサイクな
→親しみやすくて、手料理が美味しくて、家庭的な女性に出会った時、”She is a homely lady. ” と言って褒め言葉になるのはイギリスでのこと。アメリカでそんなことを言ってしまったら大変失礼です!
public school
(英)名門私立校 (米)公立校
→イギリスで「彼はパブリックスクールの出身」とか「子どもをパブリックスクールに行かせている」とか聞いたら、ふ〜ん…と聞き流さないで!公立校ではなく、エリートだということなんですよ。
こどもえいごクラブJacarandaは、未来の国際人の、はじめのいっぽを応援します!